◆気になる言葉たち◆短歌と詩と -5ページ目

鯖缶

ごみの日が暮らしのリズム 空缶をつくらんとして鯖缶を切る

加藤治郎さんに選んでいただき、短歌雑誌の活字になりました。


自由題です。新かな表記。


月曜は一般ごみ。

水曜(隔週)は空き瓶、空き缶。

・・・どうでもいいことですね。


無理にでも開封しないとなかなか食べないという実態を

おもしろいと感じて詠みました。


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引き込む力(2)・・過去・現在・未来

鳥の蹴りし力に揺れてゐたる枝しづまらむとす風のなき間に


登場するのは鳥と枝。


それぞれの動きが見えてくる。


まさに動画である。


鳥が蹴った過去。・・・蹴りし
枝が揺れている現在。・・・ゐたる
枝がしずまろうとしている未来。・・・しづまらむとす


この一首に「謎」はない。


みごとな描写力に引き込まれます。



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引き込む力(2)

この歌になぜ引き込まれるのだろうか・・・

ここに引用し、われわれが考える足場にしたいと考えています。


鳥の蹴りし力に揺れてゐたる枝しづまらむとす風のなき間に


横山未来子 『金の雨』


この歌はなぜ引き込む力を持っているのだろうか?

ご意見のある方はコメントをお寄せください。



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ねたむほどの時があつたか内職に他家の掃除に励みし妣(はは)に


栗木京子さんに選んでいただき、今朝の「NHK短歌」で紹介していただきました。
おまけに二席にまで選んでいただき嬉しさもひとしおです。


NHKの手違いでしょうか、妣(はは)のルビがなかったですね。
読める人は多くないでしょうからテキストには忘れずにつけて欲しいと思います。




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引き込む力(1)・・洗練された「小さな謎」

如月の窓辺にねむりしづかなり葉脈のごとく血の通ふ耳


窓辺にねむっているのは誰なのか・・

なぜ唐突に耳がでてくるのか・・

作者との関係は?・・


謎である。


謎があれば引き込まれるというわけではもちろんないが、

この歌のような洗練された「小さな謎」が読む者を引き込むのではあるまいか。


つづきの作品を読めば謎が解けるという連作の構成もなかなかである。



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引き込む力(1)

この歌になぜ引き込まれるのだろうか・・・

ここに引用し、われわれが考える足場にしたいと考えています。


如月の窓辺にねむりしづかなり葉脈のごとく血の通ふ耳


横山未来子 『金の雨』


この歌はなぜ引き込む力を持っているのだろうか?

ご意見のある方はコメントをお寄せください。


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まんさくの花

初咲きのまんさくの花ちぢれ花手帳の余白に挟みてありき


新仮名は敗戦仮名と肯はずほとほと一生貫きたりし


・ほとほと (ほとんどの語源)


春日真木子 『今日のてのひら』


榛名貢への挽歌一連からの抜粋である。


作品を拝見してもお話を聞いても小気味よくリズミカルで実に自在である。
一連を読めば、九十歳に近い作者のエネルギーが伝わってくる。


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お知らせ

私の短歌が次の番組の「入選九首」のひとつとして紹介される予定です。

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番組: NHK教育TV(Eテレ) 『NHK短歌』
放送: 2月21日(日)AM6:00~6:25 (再放送予定は23日15:00~)
選者: 栗木 京子 氏
題:   「ねたむ」

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早朝ですが是非ご覧ください。


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祈る

はづれくじのやうな三年 通勤の朝に祈りし地蔵を眺む

染野太朗さんに選んでいただき、短歌雑誌の活字になりました。

題は「祈る」です。


あまりイメージが浮かばない題でしたが・・・

しぼり出すようにして詠みました。



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黄斑外来

雨あがりのまばゆき朝の日に押され黄斑外来の病棟に入る


なみの亜子さんに選んでいただき、短歌雑誌の活字になりました。


自由題です。



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